東京高等裁判所 昭和28年(け)2号 決定
〔抄 録〕
一件記録によつて調査すると、申立人は昭和十八年十二月二十三日に甲府地方裁判所において戦時強姦暴行罪により懲役七年に処する旨の言渡を受け、右の判決は確定したのであるが、昭和二十六年五月十六日同地方裁判所に再審の請求をし、右請求は昭和二十七年九月二十七日に理由がないとして棄却されたそこで申立人はこれを不服として同年十月十日に東京高等裁判所に即時抗告の申立をしたところ、同裁判所第六刑事部は昭和二十七年十二月二十六日に右抗告を理由のないものとして棄却する決定をしたので、さらにこれに服せず本件異議の申立に及んだのである。そこで、まず、本件異議の申立が違法なものであるかどうかにつき検討するのに、本件再審請求の対象となつた原判決は旧刑事訴訟法事件におけるものであるから、刑事訴訟法施行法第二条によつてその再審請求の手続についても旧刑事訴訟法が適用せらるべきものである。ところが、高等裁判所のした決定に対しその高等裁判所に異議の申立をするがごとき制度は旧刑事訴訟法及び日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律の認めないところである。のみならず裁判所法第七条第二号及び右応急措置法第十八条によれば、高等裁判所のした決定に対しては右応急措置法第十八条のいわゆる特別抗告を除くほか一切抗告をすることができないのであるすなわち、本件異議申立の対象となつた東京高等裁判所の決定に対しては現在では特別抗告以外に不服申立の方法はないといわなければならない。しかるに本件異議の申立は、その内容及び宛先からいつてこれを特別抗告と解する余地は全然ないのであるから、これを適法な不服申立と見ることはできず、いいかえれば本件申立は不適法なものというほかはない。